「瑞さん!」
「瑞!!」
 皆は必死になって呼びかけるが、それが瑞に届こう筈もない。
「煩い・・・お前達・・・・・・誰だ・・・?」
「――瑞さん!?」
「やっておしまいなさい、瑞」
「・・・はい」
 瑞は、皆の言葉にではなく、リディアの言葉に頷き、戦闘体勢を取る。
「瑞、何考えとんねん!」
 223が瑞に駆け寄って揺さぶる。
「俺らの事、分からんのか!? 忘れてもうたんか!?」
「・・・・・・知らない・・・私はただ・・・お前達を、殺す!」
 瑞はそう言い放つなり、223を蹴飛ばした!
「瑞・・・・・・っ」
 由衣がそう呼ぶ声は、瑞の耳には届かず、虚空をかすめて消えた。




 一方、時は少しだけさかのぼり、前日の深夜―――。
「あ゛〜・・・もうダメ・・・・・・」
「・・・大丈夫ですかひこさん」
 ひこは進化による貧血、めまい、成長痛の上に船酔いまで重なって、体調は最悪だった。
 あの後、あきはばらはひこに何度もわざと負け続けて、経験値を貯めて進化させてから、他の皆へ報告するためにビデオレター(ホログラム)を作成した。
 それから、出発予定を過ぎてもなかなかラティオスたちが帰って来ないので、二人で探しに行った。
 しかし、ラティオスたちはどこにもいなかった。代わりにあったものと言えば、砂浜に残された戦闘の跡とそこに刺さっていた『Dream Maker』と書かれた紙だった。
 ・・・どうやら、ラティオスたちはさらわれたようだった。
 予定外のことが起こってしまったので、他の皆に合流が出来なくなってしまった。が、取り敢えず報告は送っておくべきだとあきはばらは思い、ホログラムの 『私達も合流する』という部分を消し、海鳥のたまり場(サイクリングロードとセキチクシティの間)にいたオニスズメに頼んで、送ってもらった。
 そうして今、二人はふたごじまに向かってセイリングの最中というわけだ。ふたごじまの深層部はグレンじまとつながっている。いわばドリームメーカーの基地の裏口だ。
「秋葉さん・・・ラティオスさん達は、大丈夫でしょうか・・・?」
 ボートを操っているあきはばらは、振り向きもせず答えた。
「大丈夫ですよ、ドリームメーカーは多少の拷問はしようとも殺害をすることはしません。事実、大量殺戮をしているのは『死の歌姫』ただ一体ですから」
「・・・その話を聞く限り、大丈夫とは到底言えないと思いますが」
「ははは・・・そうですね」
「笑い事じゃないですよ!」
「まあ・・・ラティオス達の事はさておき」
「さておかないで下さい!」
「・・・もっと大切な、私達自身に直接かかわる話です。―――これからの作戦ですね。各個撃破、敵の頭を叩く、降参する、ゴッドフリートに裏切ってもらう、ドロップアウトする、その他、・・・の六つの中だったら、ひこさんはどれがいいですか?」
「最初の二つはまあいいとしても、後の四つは一体……」
「この戦いは勝つ必要がないんですよ。ドリームメーカーの目的は『私達を殺す事』ではなく『有害な作品の淘汰』ですから、『ポケ書』はそんな所ではない ことを示せば、敵の戦う理由が消滅しますし。もしくはソアラさんに頼んで決戦の途中でこの世界から出してもらうことも出来るでしょう、まあその場合は責任放棄となりますが」
「なるほど」
「ただし、ゴッドフリートの真の目的が全く違うところに置かれていたならば・・・・・・そんな手は通じません、その際は本気で戦わないとなりませんね」
「真の目的ですか・・・あるとしたらどんなものでしょうか?」
「さあ?」
 明日はいよいよ侵入、そして最終決戦の火蓋が切られる。



    
  そして、カールに『へんしん』した浅目は、同じ頃どうしていたかというと。
 彼女は、カールの部下であるゴーリキーの操縦で、高速船で一時間と掛からずにグレンじまに着いた。
 グレンじまにはジムも火山もなく、ただ円筒形の大きな高いタワーが建っていた。
 何十メートルくらいあるだろう。
 距離感を掴むのが苦手な浅目には分からなかったが、兎に角高いことは確かである。
 そして、取り敢えず今は『ボスに報告』だ。
 浅目はゴーリキーを伴って、塀に囲まれたタワーの中に入り、そのままエレベーターに乗った。
 エレベーターのボタンは、現実世界で見慣れた物よりも遥かに多く、最上階は八十階だった。いかにも『空想世界』といった感じだ。
「ボスの部屋へ」
 浅目がゴーリキーに言った。それから、カールが普段『ボス』を何と呼んでいるか何も考えずに、『ボス』と言ってしまったので一瞬焦る。
 しかし、ゴーリキーがそんな事を気にする性格ではなかったようで助かった。
 そしてゴーリキーが押したのは七十二階のボタンであった。
 浅目は当然最上階に敵の頭がいると思い込んでいたので、少々意外に思う。
(残り八階・・・には、何か意味があるんだろうか・・・?)
 浅目は考える。
 ―――いや、やはり無駄であろうか。
 なぜなら――彼女が、皆にそれを伝える事はなかったのだから・・・・・・。


 エレベーターが止まり、扉が開いた。
 ゴーリキーはそのまま下に戻らせた。愚直な部下で助かる。
 エレベーターを降りると、長い廊下がまっすぐ伸びており、正面に扉があった。
 ゴッドフリートの部屋は七十二階のフロアの、エレベーターから見て奥半分を、ちょうど真っ二つにしたように作られているらしい。
 円筒形のタワーの半分なので、当然部屋は半円形である。
 カール・・・浅目は静かにドアをノックした。
「誰でしょう?」
 低く、ずいぶんふけた感じの落ち着いた声。
「カールです」
「・・・入りなさい」
 彼の言葉に従い、部屋に入る。
 そこには、『ゴッドフリート』がいた。
 ――『ドラゴン四天王』などという輩をけしかけてきたのだから、当然ボーマンダかレックウザの姿をしていると思っていた浅目は、驚いた。

 『ゴッドフリート』は、ダンバルだったのだ。

「何ですか?」
 その声は、ダンバル本人からではなく、天井に仕掛けられた三つのスピーカーから聞こえてくる。
「クチバシティの港にて、浅目童子を討ちました」
 討たれた筈の本人はそう言った。
 だが、彼女には知らないことがあった。
「そういえば・・・クラッシュの様子はいかがですか?」
 そう言われて、浅目は青ざめた。
 クラッシュなんて知らない。
 ―――実は船に死体を乗せたままなのだが。しかし、船に乗っている間中、怪しまれてはいけないとほとんど動かなかった浅目が、それに気づいたわけがな い。
「クラッシュは・・・その・・・」
 そして仕方なく、浅目は適当に続けた。
「死にました」
 ――かなり適当だったが、取り敢えず合っている。
「そうですか・・・」
 ゴッドフリートは、クラッシュの死を悼む様子も、落胆した様子もなく、ただそう呟いただけだった。
 そして、彼は少し間を置いてから続ける。
「それで・・・誰に倒されたのです? 確か、戦線を離脱していた筈ですが・・・・・・」
「それは・・・その・・・」
 浅目は言葉に詰まってしまった。
 当然、ゴッドフリートは怪しんだ。
 ただでさえ、普段闊達な筈のカールの口数の少なさを、不審に思っていたのだ。
 口数が少ないのは、まぁ体調不良とかいくらでも想像の余地がある。
 ――だが、リーダーである自分の質問に口ごもるというのは・・・おかしい。
 そして、彼はある可能性を考え、こう言った。
「明日リディアを奴らにけしかけようと思っています。どうやらここが突き止められたようなのでね・・・。明日のフェリーで向かってくるそうなので、帰って きてすぐで申し訳ありませんが、貴方にも行ってもらいたいのです・・・」
 それを聞いて、浅目はまた驚愕した。
 自分達の行動が筒抜けになっているのだ。
 なぜ浅目のカールへの『へんしん』を知らなかったのか、等の疑問は残ったが、浅目はその時それを表情に出してしまった。
「何!?」
 その異変を、ゴッドフリートは見逃さなかった。
 浅目は気づかなかったが、その時ゴッドフリートの眼は金色に変わっていた。
 そして彼は、低い声をよりいっそう低くして言う。
「貴様は・・・・・・浅目童子!!」
 その刹那、浅目はメタモンに戻ってしまった!
 浅目は慌てて、一応床に同化する。
 だが・・・・・・もはや、遅かった。

 そこには、ダンバルではなくメタグロスがいた!

 メタグロスは爪を立て、床を突き破ろうとした――

(もはやこれまで・・・・・・)
 その時。
 浅目の頭に、浮かぶ名があった。
「・・・村・・・み・・・ゆ・・・」
 その直後、浅目の体は光に変わり、散乱して消えた。


 メタグロスは、浅目が消えた床を、しばらく見つめていた。
「この様子では・・・きっと、カールは生きていないでしょうね・・・・・・」
 そして彼は、リディアに明日の出発を連絡するため、部屋を出て行った。

 『ドラゴン四天王』は残り二体。
 『砂上の蜃気楼』、フライゴンのリディア。
 そして・・・・・・

 『冥府の司祭』、ボーマンダのゼロ。



 そして、時は元に戻る。
 「何をしても無駄よ。彼女は完全にダークポケモンと化しているのだから・・・」
 リディアが静かに、そして悠達をあざ笑うかのように言った。
「そんな・・・瑞さん・・・」
 悠の表情が変わった。
「さあ瑞、そろそろ本気を出しなさい・・・」
 リディアは瑞に命令を下す。
「『ダークレイブ』!!」
瑞が叫び、それと同時に、いくつもの黒い波動が悠達を襲った!
「うわあああっ!」
 一同の悲鳴が響く。
 ダークポケモンであるRXを除けば、全員に効果抜群なのだ。
「くそ・・・どうすれば・・・・・・」
 悠が苦しそうに言った、その時だった。

 突然、船の真横から『めざめるパワー』がリディア目掛けて飛んできた!
「何!?」
 リディアは攻撃が飛んできた方向を見た。
「私(わたくし)をお忘れになって? リディアさん」
「あなたはまさか・・・ファビオラ様!?」
 あかつきの予想は当たっていた。
 そこにいたのは、かつての『ドラゴン四天王』、ファビオラだった。
「おのれ・・・この裏切り者があっ!」
 リディアはファビオラに、『ドラゴンクロー』を叩き込もうとする!
「おっと」
 ファビオラはそれを軽くかわした。
「さて・・・この辺で私(わたくし)も加勢させていただきますわ」
「そうですか・・・!」
 あかつきの表情が明るくなる。
「そうそう、ヒメヤさん、あなたに贈り物がありますわ」
 ファビオラは皆の隣に降り立つと、何かをヒメヤに渡した。
 それはライフル銃だった。しかし、銃身の下になにやら筒状の物が付いている。
「これは・・・M203グレネードランチャー付きのM16ライフルじゃないですか!」
「え、えむじゅうろく?」
「・・・そんな長い名前、よく覚えてるな・・・今更だけど」
 『えむじゅうろく?』は、ヒメヤの言う事が相変わらずさっぱりな悠の台詞、そして『そんな長い名前よく覚えてるな今更だけど』は、デパート前の銃撃戦時 のヒメヤの様子をずっと見ていたRXの台詞だ。
「きっと役に立つだろうと思って、あなたの世界からもって来ましたのよ。弾も後でお渡ししますわ」
 ファビオラが笑顔で言った。
「・・・了解!」
 ヒメヤはそれに勇ましく答えた。
「ええい! 何をゴチャゴチャ話している! やれ! 瑞!!」
 リディアの命令に答え、瑞が一同に飛びかかろうと―――

「お嬢さん・・・かわいそうにね・・・君の心は硬く閉ざされてしまっている。でも心配いらないよ。君の心がどんなに凍り付いていても、僕の炎で全部溶かし てあげるから・・・」
「甘ーい!!」
 RX、久々の『メロメロ』使用である。
 瑞は動じていないようにも見える。が、しっかりメロメロ状態になり、攻撃できなくなってしまった。
「相変わらずお上手です事」
「えへへ・・・照れるなぁ」
 ファビオラに褒められ、少し照れるRX。
「じゃあ後は私が! 『さいみんじゅつ』!」
 愛が瑞に向かって、『さいみんじゅつ』を使う!
 瑞は次第にうとうとし始め、ついには眠ってしまった。
「おのれぇ・・・おのれおのれおのれぇっ!!」
 リディアが突っ込んでくる!
「来る! RXさん! あれをやりますよ!」
「よっし!」
 ガムとRXが、同時に『でんこうせっか』で飛び出す!
「いくぞおおっ!」
 『かえんぐるま』を発動させたRXに、ガムががっちりとつかまる!
「喰らえ! 『ブースターローリングクラーッシュ』!!」
 二体はそのままリディアに突っ込んだ!
「ぐうっ!」
 効果は今ひとつだが、大きな隙ができた!
「よし、もらったこれ、早速使わせてもらいますよ!」
「私も援護しますわ! 『めざめるパワー』!」
 ヒメヤはフルオート(マシンガンのように速射する事)でライフルを乱射し、ファビオラはリディアに効果抜群の『めざめるパワー』を放つ!
「ぐわああっ!」
 ライフル弾と目覚めるパワーも、リディアに直撃した!
「今だ! 『だいもんじ』!」
「私もやるぞ! 『ゴッドバード』!!」
「40ミリグレネードの威力を受けてみろ!」
 最後に、悠の『だいもんじ』とワタッコの『ゴッドバード』、そしてヒメヤが撃ったグレネードランチャーがリディアに直撃した!
「ぎやあああっ!」
 リディアは火だるまになり、海中へ墜落した。
「やったー!」
 甲板に一同の喚声が響き渡った。
「やった、遂にリディアを倒したぞ!」
 悠が甲板で飛び跳ねながら言う。皆が思い思いに、『ドラゴン四天王』の一体を倒した事を喜んだ。
「これでリディアは倒した。ハインツも悠さん達が倒したし、ファビオラさんはもう僕達の仲間だ。後は・・・・・・」
 ガムの問い掛けるような視線に、ファビオラが答えた。
「キングドラのカールですわね。見かけなくなってしまったけれど、どこに行ったのでしょう・・・」
「・・・もう見かけたくないけどな・・・」
 カールのしぶとさを知っている223が溜め息と一緒に言う。同意するように、由衣がぶんぶんと首を縦に振った。
 一行は、知らない。カールは浅目によって、倒されていた事を。
 そして浅目が、ゴッドフリートによって消された事を―――。
「――ファビオラ様?」
 空を振り仰ぎ、不意に表情を曇らせたファビオラに、あかつきが心配そうに問い掛ける。
「――まだです・・・まだ、あと一体おりますわ」
「・・・四人いるから四天王なんじゃないのか?」
 澪亮の問いに、ファビオラは首を縦に振る。
「ええ。しかし・・・そうですね、例えて言うなら、ゲームの世界の『ポケモンリーグ』でいう所の『チャンピオン』が、まだ残っています。私達四天王よりも 遥かに強いポケモンが・・・。『ドラゴン四天王』四体で彼に向かっていったとしても、勝てる自信はありませんわ・・・」
「そいつは、一体・・・?」
「『冥府の司祭』、ボーマンダのゼロ・・・・・・」
「冥府の、司祭・・・?」
 『例え”ドラゴン四天王”四体で迎え撃ったとしても、勝つ自信がない』・・・元『ドラゴン四天王』で、戦力も半端でなく高いファビオラがそう言うのだ。 どれ程強力な敵なのだろう・・・?
 そうやって皆が黙り込んでしまった所に、誰かの呻き声が聞こえてきた。
「うぅ・・・・・・」
 瑞だ。『さいみんじゅつ』が解けかかっているのだ!
「瑞!」
 由衣が駆け寄ろうとして、澪亮に制される。
「な、何す―――」
「考えてみろよ。リディアを倒したって、瑞がダークポケモンから元に戻るわけじゃねぇだろ? 目を覚ました瞬間、俺達を襲ってくる事だって考えられる。こ こはいったん、もう一度『さいみんじゅつ』をかけた方が・・・」
「RXさんみたいに、何かのきっかけで自分の意思を取り戻してくれればいいんだけどな・・・」
「――って、話し合ってる場合じゃないですよ!」
 愛の言うとおり、なんて事を言っている間に、瑞は目を覚ましてしまった。
 そして――
「うぁぁぁぁっ!!!」
 叫び声をあげながら、瑞が『ダークレイブ』を放つ!
「わあああっ!!」
 避けようとするが、あまりの速さに避けきれない。倒れこんだ幾人かに、追い討ちをかけるようにダーク技を放とうとする瑞。
「あぁぁっ・・・!!」
 その叫び声は、苦痛に呻いているようにも聞こえた。
「瑞・・・・・・っ」
「・・・して」
 誰かの声が聞こえたような気がした。聞き覚えのある声。
 ―――ていうか、目の前にいるブラッキーの声。
「瑞・・・? 今、何て・・・」
 由衣は訊き直す。
 今聞こえた言葉が、信じられなくて。
「殺して・・・!!」
 しかし、瑞は、由衣が聞いたのと全く同じ言葉を、今度ははっきりと叫んだ。
 なんとか自分の意識を取り戻す事ができたのだ。そして瑞は今、ダーク化した自分と戦っている。
 瑞は自分の存在が邪魔なのではと思っているのだ―――。
「何言ってんの、瑞―――」
「今なら・・・ダークポケモン、の、力を・・・抑えてある・・・今のうちに・・・・・・!!」
 一同は戸惑っていた。
 勿論、瑞を殺すわけには行かない。だが、放っておけば自分達の身が危ないのも事実。
 瑞をどうすればいいのだろうか――。
 ・・・その時。
「ハッ! 所詮ブラッキーの力なんてその程度か! ならくたばってろよこのアホブラッキー!!」
 なんと澪亮が瑞を『ちょうはつ』し出したのだ。
「何ですって・・・!?」
 瑞は静かに、だが確実に怒り出した。
「貴様・・・よくも・・・ブラッキーの悪口を!!!」
 そのまま、澪亮に向けて『ダークレイブ』を放つ瑞。
 それは狙いをそれず、そのまま澪亮に直撃した!
「ぐふっ!」
「・・・だ、大丈夫なんだろうか・・・?」
 悠達はというと、船の甲板の端っこの方に隠れていた。
 ダークポケモン・瑞と、どう考えても敵に回したくない第一位の澪亮・・・誰だって、こんな組み合わせの人達のバトルとは関わりあいたくない。
 というか、瑞を『ちょうはつ』したのはあんたなんだから始末つけてください澪亮さん・・・・・・と言いたい訳だ、皆。
「大丈夫でしょ、あの人だから・・・簡単に死ぬとは思えないわ」
「いや、僕死ぬなんて一言も言ってないんですが・・・・・・」

「フッ、キミの攻撃はこんなもんか! よわっちぃチミにはアホの称号がお似合いさ! いや、この世の全てのブラッキーに・・ッギャホ!」
 それ以上言うなといわんばかりに、瑞は攻撃を仕掛ける。
「貴女・・・もう許さない、この世の全てのブラッキーに謝れぇ〜っ!! 『ダークレイブ』!!」
 今度はしっかり避ける澪亮。
「HAHAHA、そんなんじゃこの俺は殺れないよ〜ん」
(完全に、瑞さんの事おちょくってるなあの人―――)
「よし! こうなったら俺も戦いに・・・うわ!」
「やめなさい!」
 戦場にでようとする人間(結構重体)を、すんでのところで悠が止めた。
「・・・でも、このまま行けば、僕が主人公に復帰する確率は上がるんだよな・・・」
「そんなこと言ってる場合なの?」
「その前に、ヒメヤさんっていう最大の壁が待ってるぞ」
「・・・・・・僕って壁なんですか?」
 悠のひそかな願望に、横槍を入れる由衣とRX。疑問符をつけるヒメヤ。
 一方、あかつきは焦った様子でファビオラに尋ねた。
「ファ、ファビオラ様・・・止めなくていいのでしょうか・・・?」
「ダーク状態が暴走するとどうなるかわからないので、私も止めなくてはと思ったのですが・・・」
 ファビオラが驚いたような目をして
「澪亮さんの『ちょうはつ』が、瑞さんのダーク化のブレーキの役割を果たしています。もし瑞さんのブラッキー好きの想いがダークエネルギーを上回れば、 ひょっとす ると。あるいは・・・」
(しばらくこのまま放っておこうか・・・)
 一同は、暗黙の了解でそう思っていた。
 ―――だが、一人だけ・・・止めようとした人が・・・。
「もう見てられへん、やっぱ止めに行くわ!」
「わっ、ちょっと223さんストップ!!」
 今度は、悠が止める間もなかった。
「おい、瑞しっかりせい! 早よ戻るんや!」
 瑞に駆け寄り、しつこく彼女を揺さぶる。
「223さん、止めろってば!」
 仕方なしに、物陰から悠が飛び出し、223を止めようとする。が、223は聞く耳を持たない。
「あんたは人間なんだから、無茶しない方が――」
「だからや! 俺が、人間だからや・・・!」
 瑞の体を離さぬまま、223が言う。思いつめたような声で、けれども決意に満ちた声で。
「俺は人間になって、この世界に来た・・・。みんなと同じように戦う事が、出来ん体で、こっちに来た・・・それで、俺は足手まといになってる・・・。カー ルの時やって、それからみんなと合流しようとした時やって、俺の所為で迷惑掛けてしまった・・・・・・。だから・・・少しでもみんなの役に立ちたい・・・」
「・・・223さん・・・」
「迷惑だなんて・・・そんな事ないよっ・・・・・・」
 知らなかった。彼は、自分のことをそんな風に考えていた―――。
 皆がそう思っている中、223は瑞から手を離した。
(何とか・・・ならんやろか・・・俺の力で・・・・・・)
 今まで迷惑掛けた分、何とかしたい。
 そう思っているうち、いつの間にか彼は瑞に掌を向けていた。
「俺のこの『気』で・・・だめもとでやってみるで! 覚めろ覚めろ覚めろ・・・うっ!」
 223は苦しみだす。
 やがて、皆が驚いて見てる中で彼は倒れてしまった。
「223さん!」
 一同は倒れた彼の元へ駆け寄る。すると彼は、
「さっき飲んだドトールのコーヒーカフェオレがあたってもーた・・・。賞味期限、元旦やなかったんかい・・・」
 とぼやきながら、苦しそうに横たわった。どうやらクチバで買って飲んでいたらしい。
 すると223に瑞が怒りくるって『かみつく』を使った。
「よく分からん事を―――うっ!!」
 が、突然瑞の攻撃が止まった。
「どうしたんだ!?」
 223が、横たわったままで得意そうに言う。
「やってやったわ・・・。これぞ超能力『スキルスワップ』や!! ブラッキーの特性『シンクロ』と交換してやったわ・・・。これで瑞は状態異常『水あた り』 になった!」
「な、なんて体の張ったギャグ・・・水と瑞をかけるなんて・・・。あっぱれだね!!」
「ンなこといってるお前は、脳が天気だ!!」
 へらへら笑うあかつきの変なコメントに一同がつっこむが、それでもあかつきはまだ笑っている・・・。

 水あたりになった瑞は、倒れたまま動かない。
 その横で――
「あ〜もう!」
 RXは、なぜか急いでいた。
「どうしたんで―――っ、RXさん!?」
 ガムが訊く言葉を最後まで聞き終えず、RXは海に飛び込んだ!
「もう泳いでいく!」
 ――そう言った直後、RXの体はごぼごぼと音を立てて沈んでいった。
「RXさん!」
 彼は、泳げない。その上炎タイプだ。
「全く・・・」
 ワタッコがすぐにRXを掴んで甲板に引き上げた。
 そうしてくれなければ・・・間違いなく死ぬ所だった。

「あ〜無謀なことをしてしまったのだよチミ」
 誰も聞いていない中そんなことを言ったRX。
 それから、ファビオラにしか聞こえない小声でこそこそと言う。
「ファビオラさんファビオラさん・・・俺を例の島まで送り届けてくれないかな?」
「なぜですの?」
 ファビオラが驚いて訊き返す。
「情報収集とかね」
 RXがにやっと笑って言った。
 ファビオラを説得するのに時間が掛かったが、何とか説得したRXは、単身『例の島』・・・・・・グレンじまへ、向かう事となった。

「あれっ・・・ファビオラ様!? どこへ向かわれるのですか!?」
「RXさ〜ん!?」
 RXは、ファビオラの背中から甲板へ叫び返す。
「大丈夫、ちょっくら情報収集に行って来るだけだ! 誰か一人、向こうにいたほうがいいだろ! グレンじまで待ってるぜ!」
「ちょっと、RXさ〜・・・ん・・・」


 それからすぐ、激痛に悶え苦しみ、気絶していた瑞が眼を覚ました。
「う・・・・私は・・・・」
 瑞が言った。
 そうは言うが記憶はハッキリとしている。
 ――だが・・・いや、だからこそそれだけに辛かった。
 確かに自らの意思ではなかったが、仲間を傷つけたのは事実なのである。
「気にすることはないですよ」
 ヒメヤが励ますように言う。
「瑞さんはダーク化してたんですから。いってみれば、操られていたんです。そして、また戻ってきてくれた・・・。だから今度は一緒にゴッドフリートを倒し ましょう!」
 いつぞやに、RXがリライブされたときも同じようなセリフが出てきた。
 そして、RXは以前と同じように旅をしている。・・・もっとも、どれほどか後に消えてしまうのだが・・・・・・。
 瑞が再び戻ってきて、共に戦うことに異議のある者などなかった。
「みんな・・・・」
 瑞は涙ぐんだ。

 その時、超能力を持つ223が何か叫んだ。
 何を言ったのかは分からない。

 なぜならその声は爆発音にかき消されたからだ。

 船内に悲鳴が響いた。
 轟音が鳴った。


「・・・・全員、無事ですか?」
 ガムが言った。
「私は何とか・・・・・」
 愛が言う。
 とりあえずガムが視認できる範囲で人数を数えた。
 一・・・二・・・三・・・・・・
 とりあえずほとんど揃っている。
 あとはおそらく『爆発源』であろう瑞は―――そして、その近くにいたヒメヤは―――?
 とりあえずようやく姿が見えたヒメヤにガムが声をかけた。
「大丈夫ですか!? ヒメヤさん!!」
 慌てて近くに駆け寄る。
 姿かたちはまともで、キチンと立っていたのでおそらく無事であろう。
 ――そう思ったが、どうやら違うようだ。
 ヒメヤはうなり声をあげて苦しんでいる。
「ヒメヤ・・・さん?」
「その声は・・・ガムさんですか・・・?」
 ガムはそういって向けてきたヒメヤの顔を見て驚愕した。
 なぜならヒメヤの顔面は潰れたトマト、というほどではないが、裂けてグチャグチャになっていたのである。
 当然眼は潰れてしまっていた。
 ―――原因は、眼鏡の破損、だろうか・・・。
 ガムはそのまま硬直し、ヒメヤは当然眼が見えない(と、いうよりはないのだが)、そして他の者は吹っ飛んで後ろの方にいるのでだれも気づかなかったが、 ヒ メヤの足元には黒い獣の足がちぎれて放り出されたようにあった。
 そして、すぐそばに黒い破片が。
 そこにはこの文字が彫られていた。

『DARK BOX』




「おーありゃ? ジムがない・・・あるのはタワーだけ・・・不気味だね〜」
「ではRXさん、私(わたくし)は一旦船に戻りますわ」
「うんにゃ。じゃ、後で」
 ファビオラは翼をはためかせ、元来た方向へ帰っていった。
 RXはタワーに向かって歩く。
 少し行くと、タワーを囲む大きな塀があり、その前にはゴーリキーが立っていた。
「・・・ボスの所まで頼めるかな?」
 ゴーリキーにそう言う。仲間だと思われるように、気を遣った。
「貴様は誰だ?」
 と、訝しげに問うゴーリキー。
「俺はダークポケモンRX・・・その証拠に・・・」
 RXはダーク化してみせる。本当は嫌だが、情報収集の為だ仕方ない。
「良いだろう」
 ゴーリキーは塔の中へRXを通す。
(正面にエレベーター・・・)
「俺、ダークポケモンになったばかりで良く分からないんだ。ボスは何階だ?」
 ゴーリキーは黙ってエレベーターの中へ入り、七十二階のボタンを押すと外へ出て行った。
「・・・・・・八十階まであるのに、七十二階かぁ・・・俺の誕生日って七月二十九日だから・・・九・・・」
 そんな訳の分からぬ事をブツブツ呟いている間にも、エレベーターはどんどん上がってゆく。
 五十階・・・六十階・・・七十階・・・七十二階。


「おや・・・お前は・・・RX」 
 そこにいたのは、ダンバルだった。
「部下への指令が行き届いていなかったようですね・・・。RXはもう私達の仲間ではなくなったから、ダークポケモンであっても通すな、と・・・。上の者は 知っているのですが、これほど大きな組織となると全員に行き届かせるのは難しいようです」
「というか力不足? 大体マグマラシの俺に対してダンバルは流石に雑魚過ぎ―――うおっ!?」
 RXの台詞は、驚きの声に遮られる。
 ダンバルの姿が、突如メタグロスへと変化したのだ。
「ヤバソ〜だね・・・でも結構火だって効くもんですよ旦那」
 RXはそういうなりダーク化、メタグロスに『かえんぐるま』で攻撃するもあっさり避けられる。
「ありゃりゃ・・・だけどこれは避けられないよな? 『ダークエンド』!!」
 三発を立て続けに放つが、メタグロスはその見かけからは信じられないフットワークの良さで三発全てをかわす。
「その程度の攻撃・・・『ドリームメーカー』リーダーの私に効くとでも?」
 『コメットパンチ』を放ちながら、ゴッドフリートは冷静にそう言った。
 RXは、反論する間もなく『コメットパンチ』で壁に叩き付けられる!
「ぐはっ・・・!」
「所詮は雑魚と言うことだ・・・お前も、あいつと同じ目に遭わせてやる」
 そう言うと、足でRXを踏み潰そうとする。
 ――だが、RXはその足を掴み、叫んだ。
「へへへ・・・やっと捕まえた! 『ダークエンド』!」
 自分もろとも、ゴッドフリートを吹き飛ばす。
「くっ・・・やっぱまだ駄目か」
 最大の力で撃った攻撃で、確かにゴッドフリートはダメージを受けたようだ。・・・が、まだ立っている。
「じゃあ・・・とりあえず・・・一緒に死にましょうぜ、旦那」
 RXが持っていたのは、ヒメヤがちょっと前に使っていた何とかライフルとかいうのに驚いていた時に、一応持ってきていた爆弾。
 それをメタグロスに投げつけ最後に『ダークエンド』、そして

 爆弾に向かって、『かえんぐるま』を放った―――!

「あ〜あ〜なんでこんな事になったんだろ・・・と言うより・・・今思い出した・・・俺の名前って・・・保・・・悦・・・」

 RXが身につけていた眼鏡の破片が、割れた窓ガラスとともに下に落ちた。
 


 一同は、瑞の爆発とヒメヤの負傷に愕然としたまま、動けなかった。
 ガムは思い出した。自分やワタッコや浅目が、ダーク化したRXと戦った時の後にもあったあの爆発だ・・・。
 自分が研究所でルエルス達に改造されそうになった時も、薬品くさいものや機械部品と一緒に、大量の『DARK BOX』と刻まれた黒い四角型の物体が あった・・・。
「・・・僕が瑞さんを殺したんだ。僕が早くダーク改造をみんなに知らせなかったから!! うわぁぁぁ!!!」
 ガムはそう叫び、錯乱しはじめた。
「・・・それ、どういう事・・・・・・?」
 今までの彼女の声よりも、幾分か静かで、でもなぜか幾分強く聞こえる由衣の声。
「じゃあ・・・じゃあ、瑞の爆発は・・・・・・止められたの・・・?」
「ちょっ、由衣さ―――」
「どうして!? どうして、教えてくれなかったの・・・!? こうなる事・・・分かってたんでしょ!? なのに、な―――」
「もうやめろ!」
 ワタッコが、ガムと由衣の間に割って入る。
「僕とワタッコさんが二人を何とかするから、他のみんなはヒメヤさんを!」
 悠の声に、どうするべきか迷っていた皆は、ヒメヤの元へ走る事となった。
「例え、爆発が分かってたとしても止められたとは限らない!  ガムさんが悪いわけじゃないんだ! 由衣さんだって、分かってるだろ!?」
「・・・っ・・・」
「・・・・・・いいんだ・・・ワタッコさん・・・僕が、僕が悪いんだ・・・!!」
「ガムさんも、落ち着いて! 自暴自棄になるな!!」
 悠がそう言ってガムをひっぱたき、落ち着かせようとする。


 ――が、その隙につけこまない『ドリームメーカー』ではなかった。
「!!」
 悠とガムは突然倒れた。
「悠さん! ガムさん!」
 立ち去れずに残っていた愛が、倒れた二人へ駆け寄る。
 その間、一部のメンバーは負傷したヒメヤを動かさずに、傷の具合を診ていた。
「・・・二人が」
 愛が二人を見て驚愕した。
「二人が・・・」

 死んでる―――。




 悠とガムは目を覚ました。
 しかしそこに仲間の姿はなく、ただ暗闇が続いていた。
「大丈夫ですか、悠さん・・・」
「僕は何とか――」
「待っていたぞ」
 はっとして悠とガムが振り返ると、そこにはカールとクラッシュがいた。しかもクラッシュはギャロップに進化している。
 クラッシュも、そして(二人はまだ知らないが)カールも、倒されたはずなのになぜ・・・?
「四天王はただでは死なぬ。お前達を魂だけの存在にして呼び出したのだ」
 カールはそう言うとガムに対して攻撃をしかけ、
「そういう事だ! お前らも仲良くここでくたばるんだな!」
 クラッシュは悠に襲いかかってきた!
「お前が! みんなお前達がやった事なのか!!」
 ガムは怒り狂いながらカールに突撃していくが、
「ふん、感情に流された奴などに何が出来る?」
 カールはそう言って軽くかわし、『ハイドロポンプ』を打ってきた!
「そんな攻撃!」
 ガムは回避し、必殺技の『ブースターローリングクラッシュ』をくりだそうとする。
 ―――が、RXがいなければ、そのワザは使えない・・・。
「ははは!! お前一人に僕が倒せるはずがない! 『かえんぐるま』を使える仲間がいなければ、お前はただの炎ポケモンだ!」
「うわぁぁ!」
 カールの二発目の『ハイドロポンプ』がガムを直撃し、ガムは倒れた。

 一方、悠とクラッシュは
「そうら、苦しめ苦しめ! お前は俺が直々に殺してやるんだ!」
 クラッシュの『とびはねる』に手も足もでない悠。
「くっ・・・身をかわすだけで精一杯だ・・・っ」
(このままではダメだ・・・! チャンスがあるとすれば・・・・・・クラッシュの『とびはねる』の・・・着地の瞬間・・・!)
 悠はクラッシュの『とびはねる』を回避すると、『がんせきふうじ』をくりだした!
 その攻撃は見事にクラッシュに命中――
「ぐあぁぁっ―――とでも言うと思ったか?」
「え!?」
 クラッシュは『とびはねる』を悠にくらわせた!
 『こうそくいどう』で悠の攻撃を回避したのだ!
「ぎゃぁ!」
 その『とびはねる』は悠の急所に命中し、悠はマヒ状態になって動けなくなってしまった。

 死してもなお亡霊となり、二人を魂にして引きずり込んだカールとクラッシュの執念。そして『絶望的』と言うしかない状態に、もはや二人は打つ手がない。
 ――しかし。
 悠の意識に、直接誰かが語りかけてきた――。
(悠さん、『スカイアッパー』を使って! 貴方の力はまだこんなものじゃない!)
「あなたは・・・誰?」
 聞き覚えのある声。
 『えっ、何、私ブラッキーになってるの!? やったぁっ!!!』―――そう言ったのと、同じ声。
「まさか・・・瑞さん!?」
 ガムの意識にも誰かが語りかけてくる。
(ガムさん! 『必殺技』ってのは、必ず決まるから必殺技なんだぜ!!)
「・・・RXさん・・・・・・?」
 そして、二人ともに聞こえた声。
(ここで倒されるなんて・・・貴方達らしくもない。私の二の舞になるつもり? さっさと彼らを倒して、元いた場所に戻りなさい)
「浅目さん・・・」 ×2
 確かに聞こえた、と断言は出来ない。
 しかし二人は、瑞とRXと浅目の声を、聞き取った気がした。
 力をなくしたはずの二人から、再び戦う力が湧いて来る!
「チッ、あいつらの残留思念か! あの三人どこまでも邪魔を・・・!」
 クラッシュが舌打ちをしてそう言いながら、もう一度『とびはねる』を悠にくりだした!
「へっ! ざまあみやがれ!」
「・・・?」
 クラッシュが足元を確認すると悠がいない・・・。
 そう思った直後。
「『時間差スカイアッパー』!!」
「うぎゃあ!!」
 悠は『あなをほる』を使って、クラッシュの『とびはねる』を回避していたのだ。
「馬鹿な・・・マヒしていたはずじゃ・・・!?」
「残念だったな! ガムさんからもらったラムのみで回復済みだ!」
「ちっ・・・まぐれ当たりでいい気になるなぁ!!」
 クラッシュは逆上したように『みだれづき』を発動する!
「そんなもの!」
 悠は『カウンター』を使い、全ての突きを跳ね返す。そして、ギャロップのクラッシュの自慢のつのを叩き折った!
「んなくそぉ!!」
 クラッシュはまた『とびはねる』で悠を追いつめようとするが、
「!?」
 悠の身体に変化が起きた。
 体が光に包まれ・・・良く分からないでいるうちに、姿が変化し・・・バシャーモへ・・・。
「まさか、進化しただと!?」
「驚いてる暇はない! 『ブレイズキック』!!」
「うぎゃぁぁ!!」
 『ブレイズキック』を見事クリーンヒットさせ、悠はギャロップのクラッシュを倒した!

 一方、ガムとカールは――。
「何度やっても同じ事! 『B・R・C』が使えないお前は両腕をもがれたも同然なのだ!」
 カールの『みずのはどう』が容赦なくガムを襲う!
「さっきの言葉で、新必殺技の片鱗が見えた!」
 ガムはもちこたえると、何を考えたのか、自分の真上に『ほのおのうず』を放った。
 その『ほのおのうず』は、特性『もらいび』によって、ガムの身体をとりまくように吸収されていく・・・。
「ま、まさかこれは・・・させるか!!」
 カールはそう言って『ハイドロポンプ』を乱射した!
「『B・R・C』は、僕一人でもかけられるんだーー!!」
 『ほのおのうず』をまとったガムが、『でんこうせっか』でうずをまくような不規則的な動きをとりながら『ハイドロポンプ』を回避し、
「『ブースターローリングクラーッシュ』!!」
 カールに突撃した!!
「ぐぅっ!!」
 カールがひるんだすきにそのまま『アイアンテール』を放つ!
 『アイアンテール』は急所に当たったが、
「・・・・・・残念だったな」
 カールは『こらえる』でもちこたえた。そのまま『じたばた』でガムにとどめをさす体勢でいる・・・!
 『良かったらこれ、持って行って下さい』
「!?」
 ガムは突如、ゴスロリのラティアスが言った言葉を思い出し、とっさに『ひかりのこな』を周囲にばらまいた!
「何! 外れるなど、そんなバカな!?」
 カールの『じたばた』がからぶった隙に、ガムの『でんこうせっか』がとどめをさした!
「む・・・無念」



 ここは船の上、愛が二人の様子を心配に見ていると――。
「う・・・」
 最初に悠が、少し遅れてガムが、目を覚ました。
「あ、良かった! 気がついたんですね! 二人とも死んでるみたいで――すごく、驚いたんですよ・・・・・・」
 愛の声は、ちょっとだけ泣きそうだった。
 魂の状態になった悠とガムが亡霊となったクラッシュとカールを倒したので、二人の魂は元の肉体に戻ったのだ。
 悠は自分がまだワカシャモであることを確認した。
(さっきの進化は、魂の状態で本体には影響しなかったのか・・・)
 一方ガムは目を覚ますと、それまで自分が泣いていたことに気がついた。
 (すでに意識から消えていたのだが)瑞とRXと浅目の助言があった事だけは――覚えていたような、気がしたのだ。
「RXさんがグレンじま行っちゃって、瑞さんがが爆発しちゃって、ヒメヤさんが大変な状況に・・・この上、悠さんとガムさんまで死んじゃったら・・・どう しようかと・・・・・・」
「そう、それなんだ!」
 ワタッコが、会話に入り込んできた。
「ヒメヤさんが重態なんだ!」
「そうなんです!」
 悠とガムは、ワタッコと愛のその言葉を聞くと、すぐにヒメヤのもとへ駆け寄った。




・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・−・
こんなもんで良いかな。第7章終了! ・・・何か今回早かった気がする・・・今気付いたけどちょっと短いかも・・・(滝汗
今回は勝手に一人歩きの話を創る事はせずに、心情描写(っぽいもの)を付け加えました。223の足手まとい被害妄想とか、愛さん泣きそうな 描写とか、あと由衣の錯乱とか全部私が付け加えてます(爆
えっと・・・最初は、付け加えるつもりはなかったんですが・・・こうした方が面白いかなと(爆
元々、ガム錯乱の話はあったんですガムさんが書いたやつ。それに、私が付け加えただけです。・・・・・・えっと、別に誰でも良かったんですが、他の方にこ んなひっどい台詞吐かせる訳にはいかないなぁ、と・・・・・・;;
あと、ガムと悠が、瑞とRXと浅目の声を聞いたとき、最初は浅目はいなかったんですが付け加えさせていただきました。
というか、最初は、死んだ人の記憶は生きてる人から消える、という設定だったんですが(知らない人に注釈)、それだと話を進めるのが大変なのでなし、とい う事になりました。・・・で、いいんですよね参加者の皆さん・・・?(爆
どうもすみません、こんな適当な奴で(土下座
今後とも見捨てないであげてください・・・;;


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